今日7月7日はいわずと「七夕」だ だのにトウキョウの空には重たく雲がかぶさり時々雨まで振る これはカレンダーが新暦なのに旧暦の日取りをそのまま使ってるからで本来の七夕は8月の真ん中あたりだ・・・ということを去年のこの日にも書いたと思う
まあ、年に一度逢う恋人にとっては雲が隠してくれるほうがいいに決まってるけどね
さて、地上では・・・いや、地下ではどんな七夕の夜になっただろうか
今日最初の演奏者はギタリストの ジョコンダの憂鬱 だ
前回と同じくステージをほぼ真っ暗にした中で始まる演奏は時には瞑想のように、時には激高するように・・・ギターは子犬が鼻を鳴らすような音から轟く雷鳴のようにめまぐるしくその姿を変えてゆく それは雲の上にも届いたかもしれない
今日2番目に登場するのは織姫ではないが・・・地下の歌姫・・・藤原愛 だ
今夜の彼女もMCで触れたその七夕にちなんで歌ったのが「星祭りの夜」という短い曲 おや、はじめて聴くような・・・だれかのカバーかな?・・・そう思って終って彼女に訊いたら、れっきとしたオリジナルでこの時期にしかやらない曲だそうで、これは貴重なものを聴けた それと最近はあまりやってなかった「ふるさと」 これを歌うときの彼女は本当に凄まじい気迫を見せてくれる 姫は鬼女になる
さて、3番目に登場したのは若手シンガー 大濱吾朗 だ
ギター、ピアノ、ハープ、ボーカルに非凡な才能を発揮している彼だが、前回から石垣島からの友人タカラユウサクをシテージに引き出し二人でちょっとコントのようなテイストを取り入れたステージングを展開している たとえばタカラに「ひとつの言葉だけを繰り返す」という人間サンプラー的なことをやらせながらそれと一緒に演奏したり、男女の掛け合いみたいな要素を取り入れたりと、あい変らずサプライズなステージングを考えてくる彼の”エンタティナー”としての姿勢には頭が下がる
そして今日最後に登場したのはもう今ではペンギンハウスのライブの新しいスタイルを創ってしまったと言ってもいいくらいのインパクトを与えたシンガー Tatsya Inagaki だ
とにかく彼がアコギを抱えて客席の隅に座り淡々と喋りはじめるとペンギンハウスの空気がすうっと変わってゆくのがわかる Inagaki がふと呟く 「時計の音が聞こえる」
そうなのだ ペンギンハウスに最近はすっかり溶け込んでいるあのゼンマイの柱時計が「コツ・コツ」と時を刻んでいる 行ってしまった時間は2度と戻ってこない・・・一年前と同じ七夕の夜・・・でも2度と来ない夜・・・Tatsuyaはゆっくりと静かに歌い始めた