もう一度ブルース   58

1987年に「クロスロード Crossroads」という映画が公開された

監督は ウォルター・ヒル 主役は ラルフ・マッチォ

マッチォといえばその前に空手家を目指す少年を主役にしたスポーツサクセスドラマシリーズ「ベストキッド」で人気の子役スターだ

そしてそのイディオムをそのまま音楽の世界に持ち込んだこの映画はブルースギタリストとして成長を目指す少年がロバート・ジョンソンが残した未発表の曲を探して旅に出る・・・そいうようなスタイルだった

そしてそのとき少年が出会ったブルースハープが上手い老いた黒人(役者;ジョー・セネカ)がジョンソンの昔の仲間「ウィリー・ブラウン」だという設定だった

この映画、僕も観たけど本当にいかにも「青春ロードムービー」だったがギターの吹き替えは「ライ・クーダー」がやってたし悪魔の手先の凄腕ギタリストが「スティーブ・バイ」だったりと楽しめるところもけっこう多かった

しかし、ここで登場した「ウィリー・ブラウン」と実際の「Willie Brown」とはかなり違うのだ(映画ではハープ吹きとなっている)

実在の「ウィリー・ブラウン」は1900年にミシシッピのクラークスデイルで生まれ、チャーリー・パットンやサン・ハウスなどと一緒によく活動していてロバート・ジョンソンとも付き合いがあったそうだ

立場的にはチャーリー・パットンなどのベテランブルースマンとロバート・ジョンソンをつなぐ「橋渡し」の役割を果たしたのだと思うがもうひとりの「サン・ハウス」ばかりに注目が集まってしまった

というのもサンは戦前だけでなく戦後60年代になって「再発見」され多くの音源や映像まで残すことができたからで一方ウィリーは戦前にわずか4曲を残しただけでその後は表舞台に出ることは無くブルースリバイバルが起きる前の1952年に亡くなってしまったからだ


この4曲を聴くと決して”凡庸”なブルースマンではなかったと思う

しかし相棒のサンハウスが戦前だけでも24曲、さらにチャーリー・パットンが70曲も残したのに比べるとかなり少ない その理由はずばり「人気が出なかった」から・・・なのかそれともウィリー自身があまり表に出たがらなかったなのかはわからない  *後半に続く

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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