仲田修子話 97

ほかにはこんなこともあった。

それはクリスマスの夜だった。 錦糸町にあった(今でもあるが)「ロッテ会館」という大きなビルの中にあった、食事をするかなり広いラウンジみたいなところで歌ってほしいという依頼が来た。 当然こういうときの仕事といえば、よく知られているクリスマスソングを歌って雰囲気を盛上げてほしい・・・そういうオーダ-なのは充分に承知はしていた。

しかし、修子は元々この日本人のクリスマスについての考え方・・・とにかく馬鹿騒ぎをやって盛り上がるチャンスだ・・・というのに対して批判的だったので、その日の選曲は厳粛な賛美歌ばかりを揃えた。

そしてステージにあがり修子はギターを弾き歌い出した。

その曲のタイトルは「jesus loves me this i know」日本語では「主はわれを愛す」

歌詞はこうだ

Jesus loves me! This I know,
For the Bible tells me so.
Little ones to Him belong;
They are weak, but He is strong.

Chorus:
Yes, Jesus loves me!
Yes, Jesus loves me!
Yes, Jesus loves me!
The Bible tells me so.
Jesus loves me! This I know,
As He loved so long ago,
Taking children on His knee,
Saying, “Let them come to Me.”

こんな部分がある

「我が罪のため 栄を捨てて 我弱くとも 怖れは非ず

我が主 エス 我が主 エス・・・我を愛す」

この歌を英語と日本語を混ぜて歌った

するとその店のマネージャー(江戸っ子でなかなか様子のいい人物だったが)がそうっと横から修子のところにやってきて、小さな声で「仲田くん仲田くん」と呼ぶので

「何ですか?」と振り返ると、彼はこう言った。

「お客がね・・・みんなスープを前にしてうなだれてるんだよね」

それで修子ははたと気がついた そうか賛美歌なんかは要らないんだ・・・

そこでがらっとメニューを替えて「ジングルベル」や「赤鼻のトナカイ」などの曲を歌うことにした。

そしたらお客たちもようやくほっとしたようで、その後は楽しそうに演奏に耳を傾けていた。

修子は半ばヤケになって大声で「ジングルベ~ル ジングルベ~ル!」と歌った。

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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