仲田修子話 106

修子が仕事を終えて家に帰ると母親がこう言った

「幹夫が死んだよ」・・・と

自殺だった

渋谷の駅のホームから電車に飛び込んだのだ

そのことを聞いた瞬間、修子は泣いた 絶叫するように泣きわめいた

そのショックで彼女は倒れてそのまま寝込んでしまった 結局弟の遺体の引き取りにも行けずそのすべては進が引き受けた

その後の1ヶ月間・・・仕事にも行けず修子は泣き続けていた

あまりにも苦しかったので「とても東京には居たくない」と進と一緒に東北の方へ旅に出た

何日間も・・・あてども無く放浪するように・・・魂も身体もさ迷うような旅だった

その時のショックのあまりまた彼女の記憶の多くが失われていた 弟が死んだのが春だったのか秋だったのか・・・彼の生年月日は・・・・彼が何歳だったのか・・・色々な記憶が失われてしまい・・・しかし弟が死んだそのことと自分が彼に言ったことへの後悔はその後ずうっと何十年も修子を責め続け・・・消えてはくれなかった

そのあまりにも大きすぎる心の穴をどうしたらいいのか・・・

それからの修子の人生は全く変わってしまった

ハコの仕事が何事もなくあのまま順調に続いていたら将来は資金を貯めて借家ではない自宅を持とう・・・そんな思いもどこかへ吹き飛んでしまった

そしてそれまでほとんど作ったことの無かったオリジナル曲を書き始めた それは弟が死んだことで出来た心の穴を少しでも埋めようということでもあったのかも知れない

そしてハコの仕事を減らしライブハウスへ出演し始めた それは勿論お金のためではない そもそもそれまでのハコの仕事では余りあるほどの高収入だったのだが、ライブハウスに出演しても稼げるどころかむしろほとんどが持ち出しで赤字だった そこまでしてライブハウスでオリジナル曲を歌う意味は・・・その意味を考える余裕さえ当時の修子には無かった

挿入動画;「いきなり降りだした雨の中で」2002,7,10 大田区民プラザ大ホールコンサートより

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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