仲田修子話 139

「ここはねえ・・・太平洋戦争中に大家さんが防空壕のために掘ったんだよ 全部自分でやって 終戦になって埋めてしまうのは勿体無いということで、店舗に作り直してテナントとして貸し出していたんだよね」

その大家の家というのはその物件がある建物のすぐ裏の同じ敷地内にあった だからその物件は大家の敷地の庭の下にある・・・そういうことだった

その”防空壕”という言葉が修子の心をくすぐった
防空壕・・・つまり戦いのための場所・・・か

「よし、ここに決めよう! ここで私たちは始めよう!」
そう修子は宣言した

さっそく不動産屋の事務所に戻るとまず手付金をいくらか渡し契約までの段取りをつけ、あとは後日・・・ということで修子たちは家に戻った

ところが、ここで重大なミスを犯してしまったことに修子は気づいた

なんと、うっかりしてこともあろうにハンコウを、不動産屋に預けて来てしまったことに気づいたのだ 一瞬あの「元検事」の男に全財産を奪われてしまった事件、のことが脳裏に蘇った
家に着くと急いでさっきの不動産屋に電話をした

「あ、あの さきほど伺った者ですけど・・・すみません、うっかりしてハンコウをお預けしてしまったのですが・・・」

すると電話口の向こうからいかにも人の良さそうな声で

「ああ、はいはい 大丈夫ですよ ちゃんとお預かりしておいて、この次に見えたときにお渡ししますね」と返事が返ってきた

もちろんその不動産屋が何も悪事を働かなかったのは、今でもそことの付き合いが続いているので当然のことだった

敷金と礼金と不動産仲介料を払い契約は成立した いよいよ今度は、その場所を店舗にするために内装工事を始める段階だ

しかし、その前にやっておきたいことがひとつ修子にはあった

その物件は中にはまったく何も無く、がらーんとした空間の真ん中に異様に存在感のあるコンクリートの柱が2本あるだけだった

ただ・・・中は天井から壁、床に至るまでややアイボリーがかかった白のペンキで塗装されていた 天井と壁はそのままでいいとして、床にはパンチカーペットを貼るからいいとして・・・修子がどうにも気に入らなかったのはその柱までそのペンキが塗られ無粋な姿になっていたことだった

告知させていただきます
来月10月21日(土) 久しぶりに仲田修子のライブをペンギンハウスで行います
バンド名が変わりました 『修子&Midnight Special』

メンバーも少し変わりました
仲田修子(vo),ジミー矢島(ag),伊藤悦士(eg),安威俊輔(b),瀬山研二(ds)
*今までのメンバー有海が体調不良でお休みのため、今回から伊藤がギターで参加します

オープニングアクト;大濱吾朗(g/vo)

open 19:00 start 19:30 charge \2000

お待ちしてます 生修子を観に来て下さい よろしくお願いします

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

出演するには?

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