楽器という相棒      14日

まずこの写真を見てほしい 古びて塗装もはげてピックガードもない
むき出しのシングルコイルPUがきらっと光る 手垢の染み付いた
テレキャスター・・・これは誰の?

さて、今日もライブが始まった 最初の出演者はクラリネットとソプラノサックスを吹く女性プレイヤーを中心にしたユニットきぬがさやの登場だ バックはいい音を奏でるガットギターとベースとドラム いいコンビネイションを生み出すトリオの音にのっかってクラリネットもサックスも自由に伸び伸びと歌う 聴きながらこんなことを感じていた クラリネットとソプラノサックス・・・音色は似ているようでまるで違う こんなことを感じていた クラリネットは街中を吹き抜ける風、ソプラノサックスは草原を吹き抜ける風・・・どう?

次に登場したのはソロギタリストのnobu 以前「高円寺無限ループ」というイベントを企画したのは彼だ そのタイトルどおり彼もループを多用する ここらへんは交流のあるフセカズなどとも共通するところだが、同じループと言っても演奏者によって使い方に個性が現れるもんだね 彼は「リズムマシンは使わない」・・・と自分のギターでリズムを作り出すのに今取り組んでいるようだ 面白いサウンドが出てきたらいいよね

次に登場したのは多摩川音響というアコーステイックの2人組 そこに今日はもう一人ギターシンセプレイヤーが加わって3人での演奏 元々ブズーキとトンバ(?)という民族楽器のユニットにシンセが加わりその音が現実からはるか離れた「彼岸」から聞こえてくるような気分になってくる 写真のギターに見えるのは実はギターのボデイーにブズーキの弦を張って特注で作らせたものだそうだ いい音してたな ところで左の彼の太鼓が異様に眩しくない? 実はこれ中に白熱電球が入っている それは太鼓の皮が湿気で鳴らなくならないように暖めているのだ その皮がちょっと斑があってまるで満月みたいだった 今回は裏側のサブマイクを逆位相にして音がすばらしくよかった


そして最後に登場したのは ひひひのひ そう、冒頭のあのテレキャスターは彼のものだ もう長いこと使っているのであちこち痛んできて前回は修理に出ていたのだ 彼自身もそうだったが聞いてた僕や馴染みの人たちにはやっぱりこのテレキャスの音が「ひひひのひ」だ あの何とも言えない侘しさがある枯れた音は本当に彼の体の一部みたいだ 僕もギタリストだからよくわかるが「このところでこの音が出したい」という要求にぴったり答えてくれるのがやっぱり「相棒」なんだよね 今夜のひひひのひは実に楽しげに自由に暴走していた・・・いいよねえ

・・・そして高円寺ライブハウスの夜はふけていった・・・

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