僕の八ヶ岳話 8


僕らが乗った特急「あずさ」は「小淵沢駅」に到着した ここからローカル線の「小海線」に乗り換えるのだ ホームの階段を上がりその線のホームへと向かう すると目の前にやけに角ばった古臭い列車が現われた 「ブブブブブブ」という音を出していたそれは「ディーゼル車」だった その頃(今から30年以上前)でももう東京近郊ではすっかり姿を消していたそれが、この先僕らを清里まで運んでくれる車両だった

間もなく発車時刻になり列車はゆっくりと「ブボボボボ~」という音と黒い排気ガスを吐きながら動き出した しばらくは中央線と並行に走りやがて大きなカーブをぐるりと180度回るとすぐに車窓の外はもう森林になっていった どんどん高度が上がってゆくのがわかった 走り出してしばらくすると木々の間からはるかな甲府盆地やアルプスが見えてきた 景色は最高! まるでケーブルカーに乗っているような景色に僕らのテンションはどんどん上がっていった

ここで「小海線」についてちょっと説明しておこう この線はJR中央線の小淵沢と長野の「小諸」を結ぶローカル線でたしか最初は軍事的目的で作られたんだと思う JRの鉄道の中では最も高いところを通る「山岳鉄道」清里 – 野辺山間には標高1375 mのJR鉄道最高地点がある。また、野辺山駅は標高1345 mのJR線最高駅であるほか、甲斐小泉から松原湖までの9駅がJRの標高の高い駅ベスト9に入っている 沿線すべてが「非電化」で「単線」だ

小淵沢を発って2つの無人駅「甲斐小泉」「甲斐大泉」を過ぎるとさらに高度がどんどん上がってゆきますます深い森にすっぽりと包まれるように列車は進んでゆく あと少しで目的の「清里駅」・・・というとき、ある渓谷を渡る高架橋の真ん中でなぜか列車が停まった
「どうしたんだろう?」と思っていると車掌さんが車内マイクでこう言った

「皆さま、左のほうをご覧下さい 見えるのが吐竜の滝です」
けっこう大勢乗り合わせていた乗客たちは一斉に進行方向左側に寄った かなり高い橋の上・・・その下には深い谷と渓流が流れていて、その先の崖からどうどうと流れ落ちる雄大な滝の姿を見ることができた 「すごいなあ!」「すごいねえ!」僕らは顔を見合わせそう言いあった もう本当に深い深い山奥へ向かってるんだ・・・テンションはますます上がるばかり

やがて列車は再び走り出し・・・そして僕らは「清里駅」に到着した

ホームへ降りそのすぐ先の改札を抜けると駅前・・・そこで僕らはとんでもない光景を目にしたのだ

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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