僕の八ヶ岳話 45

八ヶ岳高原の寒い家で僕らは初めての正月を迎えた 年が変わると清里高原の寒さはいよいよ本格的になってきた ある朝目を覚まし洗面所に行き顔を洗おうとすると洗面台の水が出ない・・・断水ではない 水道の管にはすべて凍結防止のヒーターが巻かれていて、そこが凍ることは無い ところが、そこから先の蛇口のところは直接剥き出しになっていて夜の間の冷えでそこが凍ってしまうのだ これを防ぐためには方法がある 前の晩、眠る前にその蛇口の栓をごくわずか開けて置くのだ 蛇口からは「ポタッ・ポタッ」とごくわずかな水滴が垂れている 止まってしまうと水は凍る・・・ごくわずかでも流れていれば滅多なことでは凍らない

しかし、これを毎日寝る前にやらなければならないのだ! うっかり前の晩それをやり忘れるとこういう困ったことになるのだ 僕らは台所に行きその蛇口から(幸いそこは凍っていなかった)水をヤカンに汲みいれガスコンロにかける 沸騰したらそのお湯を洗面所に持って行って蛇口にかける このとき蛇口に小さなタオルなどを巻いておいてそこにかける方が効果的だ お湯をかけてしばし待つ・・・1分もしないうちに蛇口から「キシンキシン」というきしむような音がし始め、やがて「ジャーッ!」と音を立てて勢い良く水が流れ出はじめる (今では写真のようなものがあり大分便利になっている)

やれやれ・・・普通の暮らしをするためにここでは色々な手間が必要なのだ 僕らは少しずつ次々と新しいことを学んでいった

普通の暮らしといえばこういうこともある また車の話になるが、真冬の八ヶ岳の道路状況は限りなくデンジャラスになる この地域はそれほど雪が降るところでは無いのだが、それでも降れば一晩で30センチくらいはあっという間に積もってしまう 積もった雪はあまりの寒さでそのまま春までそこに留まるのだが、それが道路だとちょっとやっかいだ 車などで踏み固められた路面はやがてカチカチの「アイスバーン」になってしまう 除雪するか「塩カリ」などの融雪剤を撒かなければそれはずうっとそこに留まり続ける そんな道路を普通の「ノーマルタイヤ」で走るのはもう自殺行為だ

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