僕の八ヶ岳話2020 .9

滝の下でしばらく涼を取ってから戻ることにした。ただ、同じ道を戻るのは芸が無いなあ・・・そう思ってたら見つけた! この地域にある施設「清泉寮」が設けた「キープ自然歩道」という遊歩道があった。
そこを行くことにした・・・しかし、これがいきなり急こう配のかなりハードなトレイルだった。一応階段は有るのだがけっこう上級者向きなコースだ・・・でも選んでしまったのだから今更変更はしたくない・・・いざ!

川俣川「東沢渓谷」は大体深さ100m位だ。ただその谷は川が山肌を鋭角にそぎ落とすようになっていてかなり急峻だ!ルートの最初はその切り立った崖面をよじ登らなければならない、これはなかなかハードなもので「自然歩道」というどことなく長閑なネーミングに誘われてこのコースへ入ってしまったことを後悔してももう遅い。最初の10分間くらいで持ってるエネルギーのほとんどを使い果たし、息をゼーゼーとさせながらなんとかその急斜面を登り切った。すると、それまでのハードコースが嘘だったように道は急に穏やかな勾配に変わり、ほぼ平らと言ってもいいくらいのハイキングルートに変わった。カラマツの森とその足元に茂るクマザサの中を分け入る林道は快適なくらいに歩きやすい。突然、森の向こうで「キュイーン!」という鋭く甲高い声が響く。鳥か?・・・いや、僕はこの声には聞き覚えがある。それはこの八ヶ岳の山中に多く生息している野生のシカの声だ!あの甲高い鳴き声は仲間に警戒を呼び掛ける合図だ。姿は全く見えなかったが、声は何度か繰り返しながら遠ざかっていった。

そこからもう少し歩くと道の周りはそれまでのうっそうとした森から急に開けた野原になった。これはこの敷地にある「清泉寮」が飼育している牛のために持っている牧草地であちこちに分散してあるのだが、最近では牛よりも野生のシカがもっぱら利用しているようだ。開けた向こう側に八ヶ岳の峰が広がって見える。

そこを過ぎて森のまた中をしばらく行くと向こうの木々の間に何か建物が見えてきた。見覚えのある赤いレンガの建物・・・そしてその近くから小さい子供たちの声が聞こえてきた。
その建物は「聖アンドレ教会」というこの清泉寮を作ったアメリカ人宣教師「ポール・ラッシュ」がこの地元にキリスト教の布教のために建てたもので、木造にレンガそして礼拝堂は畳敷きという素朴な作りで地元にずうっと親しまれてきている。さっき子供の声が聞こえたのは、ここと繋がってるすぐ隣にある付属の保育園から聞こえてきたものだった。その横を通り抜けると清里駅の少し上の表通りに出る。これにて今日のトレッキングは終了!・・・いやいや、ここから家まではまだ歩いて一時間はある・・・今日の歩数全部で13000歩・・・けっこう歩いたものだ

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