こちらで暮らすようになって、かみさんとの話し合いで週に1日だけ僕は車を自由に使っていいことになった。そういう時は独りでちょっと遠出をすることにしている。普段歩いてや電車でもちょっと行けない場所へ・・・そしてこの日、僕は八ヶ岳に戻って初めて人に会いに出かけた。
行先は長野県富士見町・・・そう、僕の魂の故郷・・・井戸尻遺跡にある考古館の館長の小松さんに会いに。僕の家からだと車で約30分、八ヶ岳のふもとをぐるっと東から西へと回り込んだところに井戸尻はある。ここは今から5000~3000年ぐらい昔に当時の日本の縄文文化が大いに栄えた・・・それは長野県中南部から山梨そして今の東京までに繋がっていた広大な地域・・・その中心を占めていたのがこの井戸尻周囲の一帯つまり、縄文時代にここはある意味で「首都」みたいな地域だったと言うと言いすぎかな?
井戸尻は八ヶ岳の西南麓の小高い丘のような場所だ。後ろには八ヶ岳、正面には南アルプスそして東の彼方には町名にもなってるとおり富士山が見える。ここに来るといつも感じるのは景色の良さ、そしてなぜか居るだけで気持ちが良くなる居心地の良さがある。僕が今まで訪れた縄文の遺跡は大概こういった「居るだけで気持ちがいい」場所にあることが多い。
遺跡の周囲には昔の縄文人の生活をうかがわせるような景色がさりげなく再現されている。
遺跡公園には何本もの樹木があるが、その中には食用になるものがいくつかある。最初の灌木は「ヤマボウシ」という。初夏あたりにハナミズキによく似た花を咲かせるこの木の実は食用になり、果実酒にもなるそうだ。
遺跡公園の入り口あたりに生け垣のように植えられている低い灌木は「ハシバミ」という。大きなチューリップ状の鞘の中には丸いころんとしたドングリのような実が入っていてこれは生でも食べられる、その味はヘーゼルナッツそっくりだ。
そしてこの敷地の一番低い処・・・そこには水田のような沼地があり、そこには一面ハスやスイレンが植えられている。中には「古代蓮」(埼玉県で発掘された縄文時代に恐らく生息していたハスの実が発芽したもの)の子孫まである。あいにく花の盛りは過ぎていたが、ピーク時には一面に白やピンク色の大輪が咲きほこる。この植物はもちろんレンコンそしてハスの実も当時は重要な食糧源だったに違いない!。
まだまだ色々見ていたいのは山々だが、そろそろ考古館へと行くことにした。お忙しい中わざわざ僕のために時間を空けていてくれている考古館館長の小松さんのところへ行くことにした。