仲田修子話 52

むこうからやってきたのは中年の男性がひとり 「この建物の管理人か大家さんか?」と思った修子はその男性に話しかけた「すみません、テラヤマさんという人居ますか?」

すると「僕が寺山です」と・・・その人物が作家でもあり「天井桟敷」の主催者の寺山修司だった

しかし元々演劇にはまったく興味も関心もなかった修子にとってはそれが誰であろうと関係なかった

「ここで寺山さんに会うように言われて来たのですが」
と言うと彼は持ってきたアンケート用紙を修子に渡しそれに答えるように指示した 見るともの凄く長い質問文がそこには書かれてあって、たとえば「世界で一番好きな人は誰ですか?」とか「一番嫌いな人は誰ですか?」・・・とか、色々な問いがあったが、その全部に答えを書いて渡した

寺山はそれを見るとしばらくしてこう言った

「あなたは自分の分の台詞は自分で書いて下さいね あなたは”こっち側”の人だから」

そういう風に言った 修子はそれを聞いてもそれが何を意味しているのか・・・今でもわからないという

筆者はなんとなく思い当たった 多分寺山修司は「仲田修子」という人間は役者より脚本家とか演出家に向いている・・・そう判断したんではないか

その芝居のタイトルは「星の王子さま」 あの「サン・テグジュペリ」の小説のパロディーだ

「星の王子さま」公演1968年

作・演出 寺山修司  美術・宇野亜喜良
出演・沢村寿々木代 石井くに子、蘭妖

どんな芝居だったのか・・・ある方の書かれた文章を引用させてもらうと

「物語は、オーマイパパ(男装の麗人)とその娘の点子(旅をしつづける少女)が、あるホテルに宿泊するところから始まります。 そこはサン=テグジュペリの星の王子さまに憧れるウワバミ(恐怖の老処女)が経営する宿でした。ウワバミは昼は天体望遠鏡でみえない星の観察にあけくれ、夜は星の王子様の衣装を着て王子様ごっこをしています。現実の汚い部分に目を背け空想の世界に耽溺する彼女に、点子は現実を突きつけます。老女の欺瞞にみちた虚構世界がリアリストの少女によって崩れていく過程が描かれます。サン=テグジュペリの有名童話を痛烈に皮肉るこの作品は、観覧した三島由紀夫も絶賛したそうです。」

役者は全員女性 そして「白波五人男」が登場する場面があり この五人男のすべてが都内のレズビアンクラブから選抜された選りすぐりの「男装の麗人」たちで、その中の1人が修子の役だった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

出演するには?

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする