だいぶ前の話だがこんなことを聞いたことがある それは僕の知り合いの経験なのだが、彼は仲間と一緒に「ブルースバンド」をやっていた あるときラッキーなことにアメリカシカゴのブルースフェスティバルにそのバンドが「特別ゲスト」として出演できるという話がきた
喜んで彼らは渡米・・・そして憧れのシカゴでなんとむこうのミュージシャンに混ざって「日本から来たバンド」という触れ込みで出演を果たした
結果はオオウケ 客席からは大きな拍手をもらい意気揚々と彼らはステージから降りた するとそれを観ていたむこうの人間が近付いてきてニコニコ笑いながらこう話しかけたんだという
「いやあ、お宅らの演奏いいねえ・・・ところであの音楽は何ていうスタイルなの?」
いや、決して冷やかしてるのでも皮肉を言ってるのでもなかったそうだ 本気で今日本から来たバンドがやってる”ユニークな”音楽のスタイルを知りたがっていた・・・
思うにたぶん「リズム」が全然違ってたのだろうねえ・・・少なくともむこうの人にはそれが「ブルース」には聞こえなかったってわけだ 言っとくけどこれは本人から聞いた話だから実話だ
それとはまた違う話
何年か前、まだ僕が八ヶ岳で暮らしていたころ 僕の親しい若いカップルが結婚するというのでそのお祝いに行ったときだ 新郎新婦は二人とも音楽をやっていたので披露宴パーティーには多くの音楽をやっている仲間が来て居て、パーティーが進むにつれ色々な友人グループが演奏を披露するという展開になった まあ僕も当時参加していたバンドで演奏したのだが、その中にアフリカドラム・・・いわゆるジャンベをやってるグループが居て総勢10数人が並んで一斉に「アフリカンミュージック」らしきものを始めたのだ
ところがその演奏がもう凄いの何のって・・・聴いてるうちに僕は気分が悪くなって思わず会場の外に逃げ出した
彼らはたしかにアフリカンドラムをやっている・・・はずなのだ でも僕にはそのリズムがどうしても「アフリカン」には聞こえなかった あえて一番近いものを探せば・・・
「どん・ぐり・ころ・ころ・ど・ぶり・こ・・・」だった 笑い話だが笑うに笑えない
彼らはふざけているわけでは全然なくそれぞれ一生懸命自分達の好きな音楽を「それ」だと思ってやってるのだ
このようにリズムに関しては現代でも悲しくなるくらいのギャップと貧しさがある日本の音楽事情なのだが・・・なぜこんなことになってしまうのか
それにはちゃんとした理由があったのだ
高円寺ライブハウス ペンギンハウス