仲田修子話 28

「地理」はそういうわけで全くダメだった修子だがその一方「歴史」は大得意だった それはその担当教師の教え方が良かったからかも知れない いろいろな歴史上の事柄について興味が持てるような授業をしていたようだ こんなことがあった ある日その教師が「楽市楽座」などについて教えてその後「じゃみんな車座ってどういう座だかわかるか?」・・・

まあ引っ掛け問題なわけだが生徒に質問した それには誰も首を傾げ答えられなかったが、修子が手を上げて「はい、それは丸くなって座ることです」と答えたら教師はほうっと感心したようでその後は歴史の教師からはこの娘は出来るという意味で「カミソリ」と言われるようになった

ところがその教師には困ったところがあった 彼自身はすごい東北訛でその訛たっぷりな喋り方でことあるごとに口癖のように「おめえらは品川(すながわ)村のどん百姓だ・・・」と言い続けた 生徒たちはそれがあまりにしょっちゅうなので皆その言葉を信じ込んでしまった さすがの修子もものすごい劣等感を抱いてしまって 銀座=都会、品川=田舎というイメージをずうっと持つようになってしまった

 

 そして数学・・・どれだけ数学が優秀だったか・・・たとえば応用問題で言葉で書いてある文章でできた問題から方程式を導き出し解くというような問題が彼女は大得意で、クラス内の試験の時には問題が解けた者から退出して良いというルールがあったのだが、それにはいつも修子ともう1人の男子生徒とがトップを争う位置に居て凄い勢いで毎回お互いに1位を争っていた ほかのクラスではそんなことは無かったようなので 修子とその男子の二人が多分学年で1.2位の位置に居たんだと思われる そのことは教師たちの間ではもうかなり噂になっていたようだ

そしてその頃本をすごく読むようになっていた

海外のSF小説「ジュール・ヴェルヌ」の「海底2万マイル」などを読んでいた あと家のすぐ近くの貸本屋で借りた漫画「白土三平」や「手塚治虫」の「リボンの騎士」なども・・・その時代の有名なマンガはほとんど読んでいた

その影響もあったのかその頃から「暗号解読」に興味を持つようになる「エニグマ」とか・・・

「エニグマって何?」・・・ってお思いの方

安心して下さい 僕も名前だけは知ってたのだけど何なのかはぜんぜん判らなかった これについてはちょっと解説してみようかと思ったけどあまりにも難しいので断念した とにかくそれは第二次世界大戦前に当時のナチスドイツが開発した暗号製造&解読機でそのシステムは恐ろしく複雑で、その後アメリカをはじめとする連合軍は何万人もの人材を導入してなんとかその解読に成功した もしそれが出来てなかったら第二次世界大戦の結果は変わっていたかも知れないと多くの歴史学者は指摘している

とにかく修子は将来そういうことをするような仕事につきたいと思ったりして自分でも暗号を作ったりした それはルートを使った暗号でルート自体が乱数表になってるという複雑なもの・・・

これだけ理数系に才能を発揮できる自分 その頃は将来は理科系の学校に絶対に進めると修子は思っていた

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