仲田修子話 35

もちろん赤羽の団地・・・それは義父の名義になっていた・・・からも修子親子は出ていかなければならなかった

うまくいきそうにちょっとだけ見えていた展望はあっという間に奈落の底へと突き落とされることでまた見えなくなった

1から再スタート・・・いや、そうではなかった

父が遺していた仲田家の財産・・・家一軒買えるほどあった財産がすべて無くなってしまっていたのだ

それはどういういきさつでそうなったのかはここでもあまりに低脳な母はまるで把握できなかったのだが、とにかく少なくともそれが義父のやったことには間違いなかった 元検事というキャリアが本当であったとすれば法律の表も裏も知り尽くしている彼が詐欺というような形にはせず全く合法的なやり口で頭の足りない金だけ持ってる未亡人からそれを奪い取るのは赤子の手をひねるようなものだったことは間違いない

のちに母が誰かから聞いた話ではその男は母と離婚して3~4ヵ月後また似たような境遇の女性と再婚していたそうだ

本当に文無しになって団地からも追い出され仲田一家は引っ越した

その先は北区王子の「栄町」・・・本当にさびれたボロボロのアパートの6畳一間

そのアパートの名前は「栄楽荘」といった

母は近所の居酒屋の皿洗いの仕事を始めた

さてこの話を読んで皆さんはどんなことをお考えになっただろう

このくだりを修子本人の口から聞いたとき僕はあまりのことに茫然となってしまった

なんという不運・・・そして世の中には本当の悪人というものが居るんだと思い知らされた
翌日、インタビューの録音音声からこの話を書き出す作業中、この話をもう一度再生しながらまたもや茫然となってしまいものすごく暗い気分になった 気分を変えようと外に出てすぐ近所の安いラーメン屋に入った ラーメンをすすりながらなぜかものすごい罪悪感に襲われた

「こんなところでラーメンなんか食ってたらバチが当る・・・」

本当にそう思ったのだ

あとで修子にこの話をしたら・・・爆笑されてしまった

高円寺ライブハウス ペンギンハウス

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