仲田修子話 147

スタジオを作る場所はJR総武線の「大久保駅」の目の前、徒歩1分 そこにあったマンションの一室を改装して造るべく、すでに契約も済ませてあった

ところがいざ工事に入ろうとしたとき、困った問題にぶち当たった

修子はこの工事もあの「猫屋敷」を請け負ってくれた「棟梁」に頼むつもりでいた ところが彼はちょうどその時他の建築の仕事を請け負っていて、当分体が空かないということを知らされた 棟梁の今の仕事が終わるのを待っていてはオープンが大幅に遅れてしまう すでに家賃も発生していたのだ しかし代わりの業者を頼むのもちょっと難しかった

「よし!」

修子たちは決意した

「自分達でやろう」

それから修子とメンバーたちは生まれてはじめての大工仕事に取り掛かった まずは現在の内装を壊す必要があった そこは店舗ではなくワンルームマンションだったので、中には普通のインテリアそれに風呂やトイレ、キッチンなども付いてたのだ トイレは残すことにしてそれ以外のすべてを撤去する必要があった ダイニングと部屋を仕切っていた壁も取り壊さなければならない このとき修子たちは「ハツリ」要するに解体するという意味の業界用語をはじめて知った まずはその間仕切りを「ハツる」・・・頭に手ぬぐいを被りマスクと軍手をして埃まみれ汗まみれで修子たちは作業した

苦労の末、ようやくまずはスペースを全部空にした いよいよ今度はスタジオの建築工事にかかる段だ ここからが厄介だった 普通の部屋の内装をやるだけでも大変だ 何しろ誰1人として「プロ」では無いのだ まずは増田の設計を下に材料を調達する必要があった

これもほとんど手探りで、あちこちの建材屋やホームセンターに問い合わせたり注文して材料を集めた 材木にクギなどの金物、そしてスタジオには絶対欠かせない防音材 中心になるのは「グラスウール」と「防振ゴム」だ 修子は耳慣れないそれらの言葉を使って、業者に電話で問い合わせや発注をかけた

そして材料が集まってきたところでいよいよ工事にかかった

ここからは簡略して説明するが、まず土台が載る部分すべてに防振ゴムを置く その上に土台根太を張りめぐらせ、次に柱 そこと壁との間にも防振ゴムを入れる 天井も同じ

骨組みが出来上がったところに内壁を貼る前にそのすべての隙間にグラスウールを敷き詰め貼り付ける

このグラスウールが厄介なのだ これはガラスをうんと細く加工したもので見た目は綿のようだ しかし、あくまでも素材はガラスなのでそれに触れると刺さってチクチクと痛いのだ 貼り付けるときにはもちろん厚手の軍手などを付けるのだが、それが飛び散って体中あちこちにくっつく 痛痒さは並じゃない それに耐えながら毎日汗だくになって、その作業を修子たちは続けた

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