僕の八ヶ岳話 40

カラマツは地方によっては「ラクヨウ」とも呼ばれる ラクヨウとは「落葉」のことだ

ほかのマツ類は大概は一年を通して少しずつ旧い葉を落とし新しい葉と入れ替わる だから年間を通して緑色の松葉が無くなるときは無い

ところが、カラマツはこの晩秋の黄葉が終わると一斉にその葉を落とす まるで広葉樹のように丸裸になって冬を過ごすのだ この落ちた葉はあちこちに溜まる 広葉樹と違って枯れていつのまにか土に還る・・・というサイクルがものすごく長時間かかるのだ だから落ちた枯れは葉いつまでもその場に留まる カラマツの森の中を歩くとその落ちた葉が何年分も重なってまるでふかふかの絨毯のようになる ・・・ここまではいいのだ

ところが、近年そういったカラマツの生い茂る森や林に家を・・・主に別荘だが・・・を建てる人が多くなってきた カラマツは夏は日差しを遮ってくれ、冬は逆に日当りのいい環境を作ってくれる これは申し分ないじゃないか!・・・と、最初は皆そう思う

しかし、問題はあの降り積もる枯葉だ それが屋根の溝や雨どいに溜まる・・・雨や雪が降ると枯葉は水分を含んだままじっとそこに留まる・・・すると屋根に穴があいたり雨どいが壊れたり・・・という被害が起きるのだ

被害はこれだけではない 前にも書いたとおりカラマツは多くのヤニを含んでいる これがまだ落葉しない緑の葉の先に溜まりしまいにはぽたりと落ちてくる その下に車を置いた人は不運だ 一晩明けて朝、見に行くと車の窓や屋根に雨粒のようなものが一杯付いている
「おや、昨夜雨が降ったのかな?」何気なくその雨粒を触ってみる・・・雨ではない ねっとりとした油脂が指にくっつく フロントガラスにうっかりワイパーなんぞかけたら悲惨だ 筋状に広がったヤニはフロントガラスの視界をほとんど奪ってしまう よほど強力な洗剤か何かで無いとそれは落ちない 「車の塗装が駄目になった」

夏場に何も知らずにカラマツの被害を受けた別荘地のオーナーたちが血相を変えて地元の修理工場に駆け込む・・・なんてのが夏の風物詩になりそうな勢いだ

こう書いてくるとカラマツってまるでいいとこ無しのダメな存在じゃないか・・・と皆さんは思うだろう しかし・・・いいところもあるのだ

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