僕の八ヶ岳話 79

秋には今度はキノコのシーズンがやってきた このときのやはりNさんは僕を山へ連れてってくれた 実は標高が高い八ヶ岳にはそれほど多くの種類のキノコが出るわけではない

しかし、カラマツが圧倒的に多いこの地域ならではの産物があった その名前は「ジコボウ」あるいは「ジゴボウ」という・・・正式には「ハナイグチ」と呼ばれるキノコで、これは必ずカラマツの森の中に出てくる このキノコのいいところは特徴がすごくはっきりしていて初心者でも容易に見分けがつくことと、一箇所に固まって出ることが多いので見つければ多くの量を収穫できること、成長するとかなり大きくなること・・・そして何より肝心なのは「美味しい」ということだ 中には「マツヤニのような匂いがして苦手だ」という方も居るようだが、僕はこのうっすらと香るカラマツの匂いが好きだ 料理法は色々あるが、やはりさっと茹でて大根おろしなどとあえるか、キノコ汁などもいい しかし、新鮮なものだったら焼くか炒めて食べるのもなかなかオツだ ナメコと同じようにぬめりがありツルっとしてちょっとシコシコした食感は最高だ
これだけいいとこ尽くめのジコボウだがひとつだけ欠点がある それはすごく痛みやすいことだ 収穫して数時間もすると採れたてのときの鮮やかな黄色がどす黒くなってきてしまいにはちょっと溶け出すようになる このキノコが一般には流通しないのにはこういう理由があるのだと思う

とまれ、キノコには旬があってそれは山菜とは比べ物にならないくらい短い 1種類のキノコの採れる時期は標高差によって変わるが、その場所では長くて1週間だ その時期より早くても遅くてもダメなのだ だからその時期が近付くと地元のキノコハンターたちはウズウズするのだ 下手すれば毎日・・・そのポイントを見に出かける タイミングを逃せばいいのが採れないが他の誰かに採られてしまう・・・ちょっとギャンブルみたいなところがキノコ採りの世界にはあった

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