井戸尻考古館は遺跡を見下ろす斜面の一番上段に建てられている・・・と言っても実はこの建物がある場所自体も遺跡の真上になる。長野や山梨のあちこちにあるこういった資料館の中ではこの建物は一番地味で、正直外見だけ見てると失礼ながら(笑)ここが日本でも最も貴重な縄文時代の記録を収蔵している設備とはとても思えない・・・のっけから失礼なことを書いているが、正直これが最初に僕がここを訪れたときの正直な感想だ。
しかし、その中に一旦入るとめくるめく縄文の魔力にだれもがすっかり巻き込まれて、それまでの色々な予備知識や先入観をすべてはぎ取られて出てくるはめになる・・・少なくとも僕はそうだった。
そして縄文時代にこの土地がいかに特別で価値のある場所だったか・・・それをとても分かりやすくそして楽しく教えてくれたのが、当時はまだ学芸員だった現館長の小松隆史さんだ。
いつ訪れても小松さんは快く受け入れてくれる。そしていつも楽しく縄文についての色々な話を聞かせてくれる。小松さんのお話は僕はもう本当に何度も・・・かなりの回数聞かせてもらってるが、いつも楽しくそして「へーえっ!」とこちらの知的好奇心をものすごく刺激してくれる話題が飛び出してくる。一昨年ペンギンハウスで一度だけ小松さんに来てもらって彼の「縄文トークライブ」を開催したことがあるが、その時来場してくれた皆さんもその話に大いに魅了されていた。
今回はまだ「コロナ禍」の真っ最中ということもあり、お互いマスクを着けてソーシャルディスタンスを取りながらの会話だったけど、それでも小松さんの大学時代のエピソードや、それが後に彼自身が井戸尻考古館で働くことになった大きな要因になった話とか・・・今回も楽しい話題満載で、予定していた時間はあっという間に過ぎてしまった。
そして、今はまだ言えないけど小松さんからあるご依頼をいただいたことが今回お邪魔して本当に良かったことだ。いつもいい刺激をくれる井戸尻なのだが・・・今回もまた心のお土産をたくさん頂いて僕はそこを後にした。