大雪の日の夜       14日

不思議だ 「成人の日」になると雪が降る・・・そんなジンクスがあるようだ 今から40年前、僕が成人の年もそうだった 今から10年くらい前、東京で記録的な大雪になったときも降ったのは成人の日だった ある人の「呪い」だという説もあるが・・・こんな話もある 「一月の大雪は関東では吉兆と言って縁起がいい」・・・のだそうだ
とにかく今日の雪には参った 僕が家を出てペンギンハウスに向かうときはもうドカドカ降っていた 歩いているとさしていた傘に雪が積もる 高円寺の商店街もしっかり積もった雪でみんな歩き辛そう そしてペンギンハウスの周りもこんな有様 何より心配だったのは「雪には無茶苦茶弱い」と定評のあるJRの中央線がどうなるか・・・案の定TWITTERでチェックしてると「遅れてる」「止まってる」などという情報が次々と飛び込んでくる やれやれお客は、出演者は来れるのだろうか もしかして最悪今日のライブは中止になるのでは・・・そんな心配をしつつ出演者を待つ 幸い少し遅れたり転んだりしながら全員無事にやってきてくれた 心配だった客入りも意外なほど多くの方がみえてくれてホッ 本当にこういう時に来てくれる皆さんはありがたい その思いは出演者もあったようで今日は素晴らしいステージばかりだった
最初の演奏者は遠藤バンドという5人編成のJAZZユニット 編成はp ,b ,ds ,ts ,tp 本当にオーソドックスな50年代ごろの感じのジャズをしっとりと聞かせてくれる「大人の」バンドだ 演奏が始まる・・・外ではまだ大荒れの空模様に首都圏が振り回されているがここだけはなんだか心地のいい落ち着いた空気で満たされている 最初のビル・エバンスの曲が終わるとリーダーのエンドウがマイクを持ち話す 「次は今日のために練習してきましたスノウ・ピーズという曲です」 本当だとしたらすごい奇遇だ それにしてもみんな渋い 特にドラムのアマカワのスティックさばきは芸術的なくらいかっこいい 雪の夜、消えきった心にまるで温泉のように音が染みこんでくる

次の演奏者はUP2Uというちょっと若手の3人編成 g ,b ,dsのトリオだ 前回もたしか遠藤バンドとの対バンだったが彼らの演奏はJAZZを土台としながらリズムはロックスタイルそして音量もかなりでかい 前へ前へと突っ込んでゆくような演奏が彼らの身上なんだろう それにすべての曲がオリジナルだという 今日はベースがさすがの雪のせいで(?)ウッドではなくエレキだったがそれがさらにサウンドをドライでエッジの立ったものにしているような気がした 車でいうと遠藤バンドが50年代のテイルに羽根がついたキャデラックだとしたらUP2Uは70年代のペタンとしたシェイプのランボルギーニかな・・・こんなたとえは変か この演奏の熱気でペンギンハウス入り口の雪が2センチ溶けた・・かな

JAZZ系のバンドが続いたが3番目のユニットで雰囲気ががらりと変わる 無農薬ローリングカタマリーズオーケストラというやけに長い名前のこのバンドは vo ,ag/cho ,アコディオン/cho ,per ,大正琴という編成も変わってるがその演奏シスタイルも実にユニークだ やたら短い・・・1曲が1分あるかなしか・・・という曲は「カナディアンロッキーの歌」「まぶたの母」「カラマーゾフの6兄弟」「天狗の誘惑」「おとこいろの季節」などなどタイトルだけでも妙なのだがその歌がまた非常にシュールな笑いで満ちている たとえば「罪な罰」という曲の歌詞・・・「右腕が お賽銭箱から 抜けない」これだけなのだ(笑) なんか川柳みたいな、ショートコントみたいな歌が続くのだがこれは言葉ではなかなか説明し辛い ぜひ一回その目と耳で確認してほしいな

そして最後に登場したのは女性シンガーの別糸とも子 別糸って珍しい苗字だなあと思ってたら「ベッシ・・・つまりベッシー・スミスから取った」ということだ ベッシー・スミスはアメリカブルースの母と呼ばれていたシンガーだ そんなリスペクトをする彼女はやはりブルースなどのアメリカンルーツミュージックが大好きなのだそうで、今日のライブでもそういうカバーを中心に歌っていた そしてバックをつとめたイズモ、カトウという2人のギタリストがまたいい音を出していた 二人ともけっこういい歳のようだが(もしかしたら僕より上?)それだけにじつに熟成された渋い演奏 途中からは彼女をここに紹介したSHABA-DABAも加わってアメリカンブルースロックの香りが強いゴキゲンな演奏を聴かせてくれた 最後は彼女がピアノ弾き語りでウィリー・ネルソンの曲を これもよかったね それにしてもこんな雪の日に多くのお客さんが聴きに来てくれて演奏者もゴキゲンな演奏を聴かせてくれて・・・本当に1月の大雪は縁起がいいのかもしれないね とにかく来てくださったそして演奏してくれた皆さん、本当にありがとうございました 帰り道 気をつけてね

・・・こうして高円寺ライブハウスの夜は・・・

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