仲田修子;ダウンタウンブルース 19
二日後、絵理菜さんが私に小さな紙切れを渡した。それには、「ピアノ、ベース、ドラム、ギター、トランペット×2、トロンボーン、テナーサックス、ア...
二日後、絵理菜さんが私に小さな紙切れを渡した。それには、「ピアノ、ベース、ドラム、ギター、トランペット×2、トロンボーン、テナーサックス、ア...
「あの……先生……ちょっと、」 ミツコが近寄ってきた。 「なあに?」 「お金、少し貸して頂けないでしょうか?」 「お金?いくらぐらい...
「絵理菜さん…ギターとか弾く気ありませんか?私で良かったら毎日早い時間に教えますけど…むろんタダでいいですけど」 「別にいいよ、そんな、あ...
翌日店へ行くと、彼女達は相変らず熱心に対立していた、私はカウンターでマネージャーにそっと訊ねた。 「あの人たち、一体何で、何が原因であんな...
ミツコは一応雪乃派に所属しているらしかった。けれど彼女一人は他のホステスとは違って、絵理菜派に対して別に何の悪意も持ってはいないようだった。...
「あなた、ピアノか何か習っているの?」私は訊ねた。絶対何か習っているに違いなかった。 「いいえ、ピアノじゃなくて歌を習ってるんです」 「...
その店は錦糸町の、クラブとか何とかサロンとか飲み屋とかが何軒もかたまってある一画の中にあった。地下一階で、二十坪程の広さだっただろうか?内装...
仕事は楽で、むしろたのしかった、お客はみんな素朴そうな人達で、私の歌で本当に楽しそうに踊り、私のギターで次々に歌った。その店で、初めて私は前...
私は八ケ月でバイエルをあげた。そしてすぐに友人の紹介でジャズピアノの先生についた。 ジャズピアノはやたら難しかった、けれど私には夢があった...
「かけもち」、というのは二軒の店を三十分毎に往復して稼ぐ事で、ナイト、というのはそれが終ってから、夜明け近くまでやっている店で夜中から音出し...