仲田修子;ダウンタウンブルース 11
私は八ケ月でバイエルをあげた。そしてすぐに友人の紹介でジャズピアノの先生についた。 ジャズピアノはやたら難しかった、けれど私には夢があった...
私は八ケ月でバイエルをあげた。そしてすぐに友人の紹介でジャズピアノの先生についた。 ジャズピアノはやたら難しかった、けれど私には夢があった...
「かけもち」、というのは二軒の店を三十分毎に往復して稼ぐ事で、ナイト、というのはそれが終ってから、夜明け近くまでやっている店で夜中から音出し...
私の「詐欺師神経症」はレパートリイが増えるのに正比例してひどくなっていった。若いお客の中には学生時代バンドをやっていたという人もいた。そうい...
それから二ケ月後、私達一家は引っ越した。 西武池袋線の富士見台という駅、徒歩三分にある小さな一軒家だった。六畳、四畳半、DK、それに古い家...
ある晩、彼女は何を思ったのか、私達が「ドンカマ」と呼んでいるリズムマシーンを物すごい早さの8(エイト)ビートにして、バッハの何声…何声だった...
最初の日から、私はとにかく声が良い、と言われた、自分でもそうかもしれない、と思った、その店は高級な音響機材とマイクを使っていた。東中野のそれ...
オーディションの日、私は口紅を塗り、アイシャドウをつけた。化粧はそれだけだった。そして念のため、とんでもないミニ、を履いた、当時の女の子にし...
二ケ月目に入って二週間位した頃、新しく店にきだした大学生に耳よりな話を聞いた。 「俺の先輩が広告代理店で働いているんだけど」 「紹介して下...
しかし、一体どうやればなれるのだろう?まず私は今でいうところのサラ金というのに初めて行ってみた。そこで三万円借り、工場を辞めた。 パン屋の...
私は中学の時、わりと成績が良かった。 ある日、友達の一人から、中学の時の同級生だった女の子が、アメリカのどこかの大学に留学したというのを聞...